2009年1月29日

オバマ大統領就任演説

先週20日に行われたオバマ大統領の就任演説、
実は27歳のスピーチライターがスターバックスで書いたものだった、
ということを、昨日知りました!すごいですねsmile
内容も素晴らしいですが、こんな風にはっきりと「スピーチライターが
書きました」と公表してしまうところが、アメリカだと思います。
日本じゃ絶対隠しそう。。。surprised
その日は仕事をしていて結局就任式は見られず、就任演説もTVで少し見ただけ。
昨日たまたま就任演説の日本語訳全文を手に入れたので、載せることにしました。
ラストに感動thumb

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 市民のみなさん。私は今日、われわれが直面するすべきことを謙虚に受け止め、皆さんが与えてくれた信頼に感謝し、われわれの祖先たちが払ってくれた犠牲を想い起こしつつ、ここに立っている。私はブッシュ大統領のわれわれの国への奉仕と政権移行期に示してくれた寛容と協力に感謝する。

 これで44人のアメリカ人が大統領の宣誓をした。宣誓の言葉は、潮が満ちる繁栄の中で語られたこともあれば、水面が穏やかな平和時に読まれたこともある。しかし、宣誓はしばしば、暗雲が立ちこめ、荒れ狂う荒天のもとで行なわれることもある。このような時にもアメリカが前進し続けてこられたのは、単に指導者たちの技量や洞察力のためだけではなく、われら合衆国の人民が祖先の掲げた理想に忠実で、建国の文書に誠実であったためだ。

 ずっとそうあり続けたし、現世代の米国人もそうあらねばならない。

 われわれがいま危機の真っただ中にいることは、いまや誰もがわかっている。われわれの国は幅広い暴力と憎しみのネットワークと戦争中だ。われわれの経済はひどく脆弱になった。それは一部の人々の強欲と無責任の代償でもあるが、同時に困難な選択をせず、この国を新しい時代に準備してこなかった集団的な失敗でもある。家は失われ、仕事は奪われ、企業は破綻した。健康保険はコストがかかりすぎ、学校はあまりに多くの人の期待を裏切る。われわれのエネルギーの消費の仕方はわれわれの敵を強化し、われわれの地球を脅かしていることが日を追うごとに明らかとなっている。

 これらはデータや数字で表われる危機の指標だ。同様に甚大な問題でありながら、より把握しにくいのは、米全土で徐々に広まりつつある自信の喪失だ。それはアメリカの衰退は不可避だという恐れであり、次の世代はかれらの目標を下げなければならないという不安だ。

 今日、われわれが直面している試練は現実のものだ。それらは深刻で多岐にわたる。簡単に短期間で解決できるものではない。しかしアメリカよ、これらは必ず解決できるのだ。

 今日この日、われわれは恐れより希望を、争いや仲違いより目的を共有することを選んだ。その結果、こうして集まったのだ。今日この日、われわれの政治を長期間にわたって窒息させてきたつまらない不平や間違った約束、非難合戦、使い古された教義などの終わりを宣言するためにここにいる。

 われわれは若い国家であり続けるが、聖書の言葉を借りれば、子供じみたことはやめる時がきた。不朽の精神を再確認し、歴史のよい部分を振り返り、「すべての人が対等で、自由で、最大限の幸福を追求する機会を持つ」という、われわれに代々受け継がれてきた貴重な贈り物、高貴な理念、神との約束を前進させる時がきた。

 われわれはこの国の偉大さを再認識する時、偉大さが決して当然のように与えられたものではないと理解している。それは努力して得たものでなければならない。われわれの旅路は近道や妥協があったことはない。臆病者や、勤労より娯楽を好み、富と名声の悦びだけを求める者の旅路だったこともない。むしろリスクをとり、行動し、物を造り出す人々が繁栄と自由への長い荒れた道を導いてきてくれたのだ。その中には高名な人もいるが、多くは無名の働く男女だ。

 彼らは私たちのためにわずかな所持品を荷造りして海洋を旅し、新たな人生を探してくれた。

 彼らは私たちのために工場で汗して働き、西部を開拓し、むち打ちに耐え、硬い大地を耕してくれた。

 彼らは私たちのために、(独立戦争の)コンコード、(南北戦争の)ゲティスバーグ、(第二次大戦の)ノルマンディー、(ベトナム戦争の)ケサンのようなところで戦い、命を落とした。

 これらの男女は私たちがよりよい暮らしを送れるよう何度もなんども苦闘し、犠牲を払い、手が腫れるまで働いてくれた。彼らの目に映るアメリカは、われわれ一人ひとりの大望の集積よりも大きく、生まれや富や党派の違いを超越した国だった。

 これが今日もわれわれが続けている旅だ。われわれは依然として地球上で最も繁栄し、強力な国家だ。今回の危機が始まってからアメリカの労働者の生産性が落ちたわけではない。創造性が低下したわけではない。われわれの製品やサービスへの需要が先週、先月、昨年より減少したわけでもない。われわれの能力は衰えていない。しかし、現状維持、狭隘な権益の保護、不快な決断を先送りする時代は間違いなく過ぎ去った。今日からわれわれは立ち上がり、埃を振り払い、アメリカを再生する作業をもう一度始めなくてはならない。 

 なぜなら、どこをみてもなすべき仕事がある。経済の現状は大胆で迅速な行動を求めている。新しい雇用を創出するだけでなく、成長の新しい基盤を築くためにわれわれは行動する。われわれは商業の糧となり、われわれを結びつける道路や橋、送電線やデジタル通信網を造る。科学を本来あるべき地位に引き上げ、医療の質を向上させ、そのコストを抑えるために技術革新を進める。われわれは太陽、風、大地を活用して自動車の燃料とし、工場を稼働させる。そして我々は新しい時代の要求に合うべく学校や大学を変革してゆく。これらはすべて実現可能だ。そしてこれらすべてを我々は行なう。

 さて、われわれの志の大きさについて、われわれのシステムはこうしたあまりに多くの大きな計画に耐えられまいと疑問を持つ人々がいる。彼らは忘れている。彼らはこの国が成し遂げたことを忘れている。イマジネーションが共通の目的と結びつき、必要性が勇気と交わったとき、自由な男性や女性が何を成し遂げることができるかを忘れている。

 皮肉屋が理解していないのは、足元で地殻変動が起きていることだ。時間を浪費したカビ臭い政治論争はもはや通用しない。今日われわれが問うのは大きな政府か小さな政府かではなく、その政府が機能しているかどうかだ。まともな収入を得る事が出来る仕事、手が届く保険、尊厳ある老後の暮らし。これらを各家庭が手に入れられるように政府が手を差し伸べているかどうかだ。

 答えがイエスな部分については、我々は前進させる。答えがノーの部分については、そのプログラムは中止する。公金を管理するすべての者はその使い道が賢いか否かの説明責任を負う。そうしてこそ初めて国民と政府の間の信頼を取り戻すことができるからだ。

 市場が善か悪かという問題でもない。市場ほど富を生み、自由を拡げる力をもつものはない。しかし、今回の危機は市場に対する監視の目がなければ、市場が制御不能に陥ることを思い出させた。国家は成功した者たちだけを引き立てていては存続できない。われわれの経済の成功は、単にGDP(国内総生産)の規模だけでなく、繁栄の広がりと意欲あるすべての人々に機会を提供する能力にかかってきた。それは慈悲からではなく、共通の利益への最も確実な道だからだ。

 共同の防衛についていえば、われわれは安全と理想を天秤にかけるような選択を拒絶する。建国の祖たちは想像を絶する危険に直面しながらも、法による支配や人権を確約する憲章を書き上げた。憲章はその後、何世代も血を流したことによって拡充されてきた。その理念は今でも世界を照らしている。そして、われわれは時々の都合でそれを放棄したりしない。だから、今日(就任式を)見ているすべての(外国の)人々と政府に言いたい。そこが巨大な首都であれ、私の父が生まれた小さな村であっても、アメリカは平和と尊厳ある未来を志すあらゆる国とあらゆる男性、女性、そして子供の友人である。そしてわれわれは再び先頭に立つ用意ができていると。

 先人たちがファシズムや共産主義にミサイルや戦車だけでなく、強固な同盟と永続する信念で立ち向かったのを想い起こしてほしい。彼らは力のみでは自分自身を守れないこと、力があるからといって好き勝手にふるまう資格がないことを理解していた。その代わり、彼らは深慮をもって力を行使すれば、その力が増すことを知っていた。われわれの安全は大義の公正さ、模範のもつ力、謙虚さと自制がもたらす静粛さから生じるものだということも知っていた。

 われわれはこうした遺産の守護者だ。この原則に再び導かれることによって、われわれはより困難な脅威、これまで以上に国家間の協力と理解が求められる新たな脅威に立ち向かうことができる。われわれは責任をもってイラクを同国民に返し、苦労を承知でアフガニスタンに平和をもたらす。旧友やかつての敵と手を携え、たゆまぬ努力で核の脅威を削減し、地球温暖化の怖れを逆戻りさせる。

われわれは我々の生き方について謝罪しないし、それを守ることに躊躇しない。自らの目的を達成するためにテロを使い、無実の人たちを殺害する者にいま告げる。われわれのスピリットはあなた方より強く、決して砕かれることはない。あなた方がわれわれより長生きすることは不可能であり、われわれは必ずあなた方を打ち負かす。

 アメリカの先祖伝来の多様性は弱みではなく強みだ。我が国にはキリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒、ヒンズー教徒、無宗教の人々がいる。われわれは地球上のあらゆる場所から集まった言語と文化によって形成された。アメリカは内戦や人種差別の苦渋を味わい、その暗い歴史から、より強く、より団結して再浮上した。だからこそ、われわれはどうしても信じたい。古い憎しみがいつの日か過ぎ去り、部族の線引きがやがて消えることを。世界が狭くなるにつれ、共通の人類愛が浮き彫りになることを。そしてアメリカが新しい平和の時代をもたらすために、役割を果たさなければならないことを。

 イスラム世界に言いたい。われわれは互いの利益と相互の尊敬に基いた新しい道を求める。対立を助長したり、自国社会の問題を西洋に責任転嫁したりする世界の指導者に言いたい。あなたの国の国民はあなたが何を壊すかではなく、何を築くかによってあなたを判断する。汚職と嘘、口封じによって権力にすがりつく指導者よ、あなたは歴史の間違った側にいる。しかし、もしあなたがその握りしめた拳を開くなら、われわれは手を差し伸べる。

 貧しい途上国の人々に言いたい。畑が豊かになり、きれいな水が流れるよう、われわれはあなた方と共に取り込んでいく。飢えた身体を養い、向上心のある脳を満たしてゆく。アメリカのような豊かな国は、もはや国境の外側の苦しみに無関心ではいられない。何の考慮もなしに資源を無駄使いすることも、もうできない。世界は変わったため、われわれもそれに合わせて変わらなければならない。

 われわれの前に開かれた道を考える時、私たちはこの瞬間にもはるか遠くの砂漠や山々を警備している勇敢な米国人たちを謙虚な感謝とともに思い出す。アーリントンに眠る亡くなった英雄たちが時代を超えて囁くように、彼らも我々に何かを語りかけている。彼らは私たちの自由を守っているだけでなく、奉仕の精神や、自分自身より偉大な何かに意味を見出そうとする意志を身をもって示している。そして、いまの世代への評価が決まるこの局面で、このスピリットこそ我々すべてが持たなければならないものなのだ。

 なぜなら、政府ができること、やらなければならないことはあるが、この国が最後に頼りとするのは米国民の信念と決意だからだ。堤防が崩れた時に見知らぬ人を受け入れる優しさ、友人が職を失うくらいなら自分の労働時間を短縮する無私の心が、暗黒の時にわれわれを支えてくれる。煙の充満した階段を駆け上がる消防士の勇気、そして子供を育てる親たちの意欲が最終的にわれわれの運命を決める。

 われわれが立ち向かう挑戦は新しく、それに立ち向かう手段も新しいかもしれない。しかし、われわれの成功の礎となる価値観、誠実さと勤勉、勇気と公正、寛容と好奇心、忠誠心と愛国心などは昔なじみのものだ。これらは普遍の真理である。これらはわれわれの歴史を通じて前に進む静かな力となってきたのだ。

 そうであるならば、いま求められているのはこうした真理に立ち戻ることだ。いま我々に課せられているのは新たな責任の時代、米国民の一人ひとりが自分自身、自分の国、そして世界に対して義務を負うという認識だ。いやいや請け負う義務ではなく、よろこんで掴む義務だ。難しい課題に全力で向かうことほど、精神を満たし、我々らしさをみせることはない。

 これが市民であることの代価であり、約束である。これが道の運命を自らの手で形作れと神が呼びかけていることを知っている我々の自信の源泉なのだ。

 これが我々の自由の意味であり、信条である。これがあるからこそ、今日この偉大なモールにあらゆる人種とあらゆる宗教の男性、女性、子供たちが集まり祝うことができるのだ。これがあるから、60年前ならレストランで食事をすることも出来なかったかもしれない父を持つ男が、最も神聖な宣誓をおこなうために、あなた方の前に立つことができるのだ。

 だから、われわれが誰なのか、どれだけ長い道のりを歩んできたかを振り返りながら、この日を憶えておこう。アメリカが生まれた年、最も寒い月に、愛国者の小さな集団が凍てつく川沿いの消えかけた焚き火に身を寄せ合った。首都(フィラデルフィア)は見捨てられた。敵は進軍してきた。雪には血がにじんだ。革命(独立)の行方が最も危ぶまれた時、建国の父はこう読むように命じた。「将来の世界で語られるようにしよう。希望と美徳以外は何ひとつ生き残ることができない真冬の日に、共通の危機に瀕した都市と地方はともにそれに立ち向かった」と。

 アメリカよ、共通の危機に直面した今、この困難な冬に、我々はこの時を超えた言葉を思い出そうではないか。希望と美徳によって、氷のように冷たい流れにもう一度勇敢に立ち向かい、いかなる嵐が訪れようとも耐えようではないか。子々孫々が今を振り返った時に、我々が試練の時に旅を終えることを拒否し、引き返すことも、たじろぐこともなかったということを語り継がせようではないか。地平線に視線を定め、神の慈悲を身に浴びて、われわれは自由という偉大な贈り物を運び、将来の世代に安全に送り届けたということを。ありがとう。神の祝福がみなさまにあらんことを。そして、神の祝福がアメリカ合衆国にあらんことを。

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